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2資格と人材養成
Certification and Human Resource Development
1.はじめに
日本衣料管理協会は、1971年に創立され、今年で54年を迎えました。本協会は、繊維・ファッション分野における人材養成を目的に、衣料管理士(Textiles Advisor:略称TA)と繊維製品品質管理士(Textiles Evaluation Specialist:略称TES)の二つの資格認定事業を行っています。また、教材の出版事業、セミナー等の研修事業、調査事業などを実施し、こうした活動を通して社会への貢献を目指しています。
2.TAとTESの概要
TAとTESの概要を表1にまとめました。TAは、限られた養成校で条件を満たした学生のみが取れる資格のため、認知度はあまり高くありません。ただし、有資格者は、幅広い知識に加え、実験や実習の体験に基づく適応力を持っているため、業界の各分野において好評価をいただいています。
一方、TESは実務遂行に役立てている有資格者も多いことから、業界に必要な資格として、高い評価をいただいています。
表1 日本衣料管理協会の資格制度概要
3.TAとTESの現状
TAは養成校の努力により、順調に有資格者を輩出してきましたが、社会環境の変化から被服系学科の縮小や女子大学の変革といった影響を受け、2級養成校が減少したため、近年では、資格者の認定も減少しております。
TESは、制度発足以来、順調に市場に浸透し、2017年度には、受験者が 2,700名を超える規模に成長しました。有資格者で組織する「TES会」の会員は3,000名を超え、全国に活動を広げています。しかしながら、業界の停滞やコロナ禍の影響もあって、ここ数年は、1,400名台の受験者数に留まっています。両制度とも、現状は大きな課題を抱えていると言わざるを得ません。
4.資格と人材養成
資格取得にはどんな意義があるのでしょう。まず資格取得を目指すことで、日々の勉学に励むモチベーションになります。特に社会人の受験者にとって、仕事と受験勉強の両立は大変ですが、それだけに資格取得時の達成感は大きいものになります。受験勉強を通して、新たな知識やスキルが身につき、仕事や学業に好影響を及ぼすことも重要です。ただ、資格は取るだけでは、あまり意味がありません。その資格を自分の仕事や人生に活かすこと、有資格者としての自覚を持って更なる研鑽を積むことが、自らの資格の価値を高めていきます。
本協会では、「TAの集い」「TES会」といった活動を通して、セミナーや研究会、見学会を定期的に実施し、研修と人的ネットワーク醸成の場を創り、会員の成長の糧となるように努めています。日本の繊維・ファッション業界が厳しい状況にある中、人材養成は最も重要なテーマです。次代を担う若い世代の成長に少しでも貢献できるよう、今後も両制度の充実を図ってまいります。
5.今後の活動
本協会は、繊維・ファッション業界を目指す生徒・学生や、業界内外の社会人にとって、挑戦すべき価値のある資格として、TAとTESを認知・理解いただけるように、現状の課題改善に取り組み、更なる価値向上を目指してまいります。
今後とも皆様のご指導・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
藤田 雅夫((一社)日本衣料管理協会 代表理事 副会長)
*繊維学会誌2025年9月号、時評より
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